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正義と、幸福とのコンフリクト|スシポリス8話感想

スシポリス8話の状況

まだ、スシポリスは自分の正義を守り続けているが、徐々に世間の風当たりが強くなってきてるのが、面白い。

スシポリスに対するアンチテーゼとして、パスタポリスというのが登場。
寿司とパスタをセットで提供する店にて、寿司の泣く声が聞こえぬのかと取り締まろうとするスシポリスに対し、美味しければいいよねと認定証を与えるパスタポリス。

平行してバックオフィスでは、EU各国が共同でスシポリスへの入国拒否を表明するという事態が発生。スシポリスは窮地に追いやられつつある。

この辺は、EUあるあるである。
自由バカであるアメリカに対し、EUは自身が定めた自由=正義を守るために他者を共同で排除する。

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(引用:スシポリス8話)

変なパスタと自由権のコンフリクト

また、スシポリスのメンバーの一人、KAWASAKIはロボット、つまりロボコップなのだが、そのKAWASAKIだけが、パスタポリスの美味しければいいんだという主張に対し、皆(客)が笑顔で同意しているのを見て「そうかもしれない…。」と揺れ動く。

一見すると、スシポリスの正義が揺らいでいるように見えるが、これは、ロボットとして作られたKAWASAKIには、恐らくロボット三原則のようなものが存在しており、スシポリスとしての職務と、人類の幸福に奉仕するという原則が、コンフリクト(論理の競合状態)に陥って、不安定になっている状態と見れる。

翻って、このKAWASAKIは、皆平等という教育を機械的に仕込まれてきた我々自身のシャドウでもある。

(我々の場合「スシポリスとしての職務」は、「パスタ寿司とかやっぱ変だよ」という気持ちであり、「人類の幸福への奉仕」は、「自由権」という思想がそれにあたるだろう)

このアニメ(=変なパスタと自由権のコンフリクト)は詰まるところ、寿司とスパゲッティ、一緒に出すのを貴方は許せますか?許せませんか?という、我々個人の価値観を問うているのだ。

正義の対立

スシポリスというふざけた題材とコミカルな絵面のせいでパット見で分かりづらいが、このアニメのテーマは正義の対立だ。
構造はとてもシンプルで、欧米的な自由平等の価値観に対し、その他の価値観(寿司かくあるべし)の対立であり、世界の縮図でもある。
誤解を恐れながら言うけど、僕にはスシポリスがISISと被って見えている。
もし、僕達が貧乏で恵まれてなくて、生きることにすらストレスを抱えているような状況なのに、自分の信じている神(あるいは寿司)が汚されているように感じるならば、自ら行動を起こさないまでも、それらを守ろうとする暴力装置(あるいはスシポリス)に共感を抱かずにいられるだろうか。

今作、スシポリスは、非常にタイムリーなテーマを、所詮は寿司という、強力な予防線によって安全に表現しようとする意欲作なのでは無いだろうか。

最終回まで、この難しいテーマをどう持っていくのかが楽しみだ。
スシポリスが「俺たちは間違っていた…。」とか言いやがったら、ほんと怒る。

 

sushi-police.com